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令和5年度「卒業証書授与式」を挙行しました

 令和6年3月1日(水)、天候が心配される中で、令和5年度和歌山県立那賀高等学校卒業証書授与式を挙行しました。本年度の卒業式は、卒業生の保護者と2年生が体育館で参加し、1年生は体育館のスペースの関係で参加しませんでした。また、多くの来賓の方々にもご臨席いただき盛大に開催することができました。

卒業証書授与では、担任の先生の呼名に元気に返事する卒業生の姿を見ることができました。また、学校長式辞では、校長先生が着任して初めての卒業式となり、卒業生に以下の贈る言葉を述べました。

【令和5年度卒業式式辞】

 三月の風に想いをのせて、桜のつぼみは春へと続きます。その兆しの中、今、卒業生の皆さんに卒業証書を授与いたしました。御卒業おめでとうございます。同時に、保護者の皆様にも、心からお祝い申し上げます。子供たちは、新たな次のステージに歩みだせる立派な若者に成長しました。那賀高校での三年間の教育が、お子様の人間的な成長にお役に立てたとするなら、私達教職員のこの上ない喜びとするところです。また本日は、多数の御来賓の御臨席を得て、令和五年度の卒業式が挙行できますことは、私ども関係者にとって大きな喜びございます。改めて感謝申し上げます。

 さて、皆さんが入学した令和三年、新型コロナによる緊急事態宣言等が繰り返され、厳しい渡航制限や行動制限があり、学校生活も大きな影響の中、行事や研修・修学旅行、部活動などは、様々な変化や制約の中で実施できないものもたくさんありました。皆さんが三年生になった令和五年、五月に新型コロナの五類移行により大幅に規制が緩和され、本校もようやく日常の学校生活を取り戻すことができました。中でも、「恋せよ那高生 奪われた青春を取り返せ」のテーマで開催した那高祭は、私にとって、感動的で衝撃的なものでした。思い切り活動できる喜びを爆発させた君たちの姿を忘れることはないと思います。皆さん自身は、本校に入学した時の目標を達成できましたか。集中して勉強に打ち込み、力をつけましたか。部活動は自分を成長させてくれましたか。そして、これから生きていく新しい目標を見つけることができましたか。その答えは、一人ひとり違いますが、今ある自分の姿を見つめ、問い直して、次の新しいステージへと飛躍していってもらいたいと思います。

 君たちが飛び込む新しい世界は、次の二つの側面で、人類が今まで経験したことのない未知の時代に入っていると言えます。一つは、急速に進む情報化社会の進展の中で、世界がフラット化する、平らになる現象が起きているということです。インターネットを通じた情報は、世界中おかまいなしに駆けめぐっています。このことは、地球規模での大きな格差の存在を浮き彫りにして、テロや戦争を含めた世界の不安定さの要因にもなっています。もう一つは、特に消費生活という点で、社会が成熟化しているということです。かつて、日本では、物の豊かさを求めて一生懸命に働く、という時代がありました。そうした時代には、家や車などで、豊かな生活を手に入れることが一つの目標でしたから、向かう方向がわかりやすく、単線型の価値観で社会が形成されていました。けれども、今のような成熟化社会では、一人ひとりが、自らの価値観をもとに、自分にとっての幸せとは何か、仕事も、自分の時間も、生き方も、すべて自分で考え見つけなければならないのです。

 こうした未知の時代を生きるために、どうすればよいのかをお伝えして、皆さんに贈る最後の言葉にしたいと思います。その一つは、人は、どんな時にでも、自分以外のもの、「他者」を相手にしなければ生きていけないということです。「他者」とは、もちろん、身近にいる人もそうですが、新しく出会った人、さらには、国が異なり、育ってきた文化や宗教など、基本的な考え方が異なる人、或いは、私たちが生きる社会そのものも広い意味で「他者」と考えていいと思います。今のような成熟化した社会において、「他者を感じとる力」、自分にはない、又は自分とは違う、その異なる部分を一度受け止め、考えを整理する力は極めて大切です。なぜなら、今後、君たちがする仕事は、考え方や専門性の異なる人々とチームを組むことが多くなると予想されるからです。多様な他者と他者が、異なる意見をぶつけ合いながら、一つの創造的な仕事をする。

 君たちなら、きっと、そんな仕事ができると信じています。もう一つは、月並みですが、どんな場面でも「努力」すること。いくつになっても「学び続ける」姿勢を忘れないことです。和歌山が生んだ、偉大な経営者である松下幸之助さんは、「努力」の必要性を、こんな例えで言っています。「鷹がスズメになろうとしても、スズメが鷹になろうとしても、それは運命であって、変えることはできない。けれど、鷹は鷹なりに、スズメはスズメなりに懸命に生きる、一生懸命、努力をしないといけない。そうすることで各々が成功する道が開ける。」と。

 人生は、自分が描いた通りの道を歩めるとは限りません。むしろ、そんな人は少ないかもしれない。自分の人生が、望んでいたものではなかった時に、どう行動するか。そのことを松下さんは教えてくれているのです。そうした人生を謙虚に受け入れ、その中で学び続け、最大限の努力をする。新しい人生の展開や成功は、そこからしか生まれないと言っているのです。皆さんの輝く未来に幸多かれと祈っています。最後に、令和の時代を生きる皆さんへ。令和という言葉には「春の訪れを告げる梅の花のように、明日への希望とともに一人ひとりが大きく花を咲かせられる日本でありたい。」との願いが込められています。新しい時代を生き抜く皆さんが、三年間で培った力を基に、人生の大きな花を咲かせてくれることを信じ、更には皆さんのこれまでの努力に感謝して、私の式辞といたします。

  令和六年三月一日

 

【卒業証書授与】
普通科代表:福元 陽誠さん  国際科代表:有本 涼華さん

【在校生記念品目録贈呈】
卒業生代表:鳥本 佳花さん  在校生代表:中谷 悠月さん

【卒業記念品目録贈呈】
代表:西本 蒼さん

【在校生送辞】
代表:辻内 琥月さん

【卒業生答辞】
代表:中野 潤也さん

 

 

2024/03/14 news
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